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倉庫の『お片付け』

少年の悪霊は、あなたの口にした名前を聞いて目を見開いた。
何度も何かを言いかけては口を閉ざす彼のまとう暗いオーラが、どんどん薄れていく。

「僕の、僕が持っていても良い、名前……」

やっとそう言う彼がポロポロと零した涙が、透き通った宝石となり、床に音を立てて散らばる。
名前を得たことで、彼は己を縛り付けていた怨念の枷を打ち破るだけの力を得たが、同時に自分が今まで周りにどれだけ迷惑をかけてきたか、冷静に判断できるだけの分別も得たようだ。

「……今まで縛り付けていてごめんよ、悪かった」

悪霊だった少年の言葉に、彼に縛り付けられていた幽霊たちは顔を見合わせ、一人、また一人と昇天していく。
幽霊たちを全員見送った少年は、あなたに感謝の言葉を告げた。

「僕に名前をくれて、ありがとう」

彼はそのまま空気に溶けるように姿を消した。
倉庫の床には彼が残した『透き通った宝石』が散らばっているが、他の物品は概ね整理された状態を保っており、片付けにはさほど手間はかからないだろう。

片付けを済ませると、ジョナサン・ドゥは報酬に『透き通った宝石』を付け加えてくれた。
その宝石は、あなたの手の中でキラリと幻想的な光を反射した。

【悪霊の未練完全解消END】