第二章 何も見えない、聞こえない
……?
死んだ、はずでは。
最期の瞬間、息が止まるよりも先に、溶かされて。
暗い。
何も、見えない。
音もしない。
体が、どこまであるのか分からない。
ただ、何もない。
……息はしている、のか?
胸の上下を、感じない。
脈も……ない。
やっぱり、死んだのか。
死後の世界は、何もないんだな。
……何も? 本当に?
とてもゆっくりとした流れ。
下から、上へ。
途切れることはなく。
土の奥を、虫が這うような……土の奥?
でも今は「動きたくない」んだ。
そんな、全体的な気怠さが、ある。
何かが震えた。
遠い。
大丈夫、という判断だけはした。
とてつもない違和感が、ある。
でもあまりの気怠さに、それすらも、また沈んでいく。
まどろむ。
ここはどこだろう。
わからない。
まどろむ。
少し醒める。
何もないから、また眠る。
まどろむ。
暗闇の中、ゆったりとしていた「何かの流れ」がほんの少し、加速した。
まだまだ、それは「冷たい」けれど……
溶けた雪の、味がした。