手紙

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 色とりどりの便箋に、色とりどりのインク瓶。並べて唸り始めてから、既に数十分は経っているだろう。
 手の中で煌めく硝子ペンは、待ちぼうけ。仕方がないので、そっと机に置いた。
 手紙を書こうとして頭を悩ませるのは、今に始まったことじゃない。下書きを作るのにも言葉選びに難航するし、いざ、清書と思ってもご覧の通りの有様だ。実際に道具を選べても、きっと最初の数枚は震える文字と書き損じの所為で屑籠に直行する運命だろう。
 それでも、書く。一度書こうと思った手紙は、結局書かずにはいられない。
 溢れる気持ちと愛に、気付いて欲しいとは思わないけれど。溢れるのが勿体ないから、こうして手紙の形になる。
 溢れる気持ちは、止めようがないのだ。