短歌集
新しいものが上に来ます。
(他の作品とは掲載順が違いますのでご留意ください)
2025年2月
白流れ 近くも見えぬ 窓の外 出る気も起きず 手元に蜜柑
2024年8月
薄ら闇 科学の前に 敗れ去り 追った幻想 今は何処に
似て非なる 溶けることなく 真っ直ぐに 引かれた線の 向こうを思う
どこまでも 広がる向こう 白い雲 越える飛行機 登山のようね
2024年5月
薄布に 映し出される 影絵かな ひらりめくれば 目にも鮮やか
2024年4月
昨日まで もう少しだけ 夜だった のにもう朝の 光が射してる
2024年3月
流れ行く そのひとひらに 透かし見る そらに連なる そのまた向こう
彼の方に 宗教勧誘 なんて無駄 あるじの声が ニャアと聞こえる
薄紅の 根元にゃ姫が 眠るとな ネタなら良いが 事件は勘弁
窓の内 安らぎ求め 並ぶ鉢 ねぎらうために 霧吹きかざす
人の世に 神も仏も いるならば そっと教えて 隠り世事情
2024年2月
導きの 縁が示した 昇り龍 護る玉を得 伸びやかに舞う
呼ばれれば 見上げた先に 麗なる 衛りの星が 今日も微笑む
日が進み 月も歩みし 世の中は されども巡る 行きつ戻りつ
瞼伏せ 世界見ぬ間に 一瞬で 災禍が喰らう いつもの日々よ
天からの 恵み密かに 解く白 茶色夢見る 萌ゆる緑を
南国の 平地育ちは 雪知らず 白の世界に 吐息を漏らす
窓の外 右に街並み 左山 裾野を走る サンダーバード
2023年5月
あまつちを めぐりにめぐる みずだから わたしのなみだ そらにかえして
車窓外 空も地面も 同じ青 やがて育む 黄金を思う
爽やかな 青の落ちてる 道端を 飛び越えはしゃぐ 黄色の帽子
2023年4月
東風吹いて 見上げた空に 桜舞う 行く先追えば 笑顔のアナタ
2022年8月
早くから 蝉は鳴く鳴く 陽も照って うっかり起きる 休日の朝
2021年11月
朝起きて 外は仄かに 暗いまま 白い吐息の 足音を聞く
2021年10月
まなぶたを とじてぐらりと ゆれるのは わたしのせかいか よのなかなのか
Tシャツで 見上げた先に 紅葉散る 揺らぐ天津地 平穏はいつ
薄墨を 頭上に透かし 仰ぎ見た にじむ景色で 空気を洗う
2021年夏ごろ(詳細時期不詳)
重いのは 水吸う服か 偏頭痛 今日も天では バケツが転ぶ
肩が凝る 行き過ぎもはや 頭痛する 漬物石が 不要な背中
占いに 天啓求め 試するも 人事尽くせと お叱り受ける
玉子焼き 茫と眺めて 汗拭う 熱変性は もはや戻れぬ
蝉すらも 声を潜めて やりすごす 今年の陽射し 殺人光線
ただおもい ひたすらおもい そのおもさ たにんはしらぬ じぶんもしらぬ
なみだゆえ ふるえるかたを さすれども なけぬつきそい きずはいかほど
ふれたかお ねつをうしない ただしずか そっとまなぶた とじるがしごと
ふりむけど もとむあいては みあたらず まばたきひとつ まぼろしのぞむ
そらがなく わたしはなけぬ ひとでなし ほほのしずくは ただのあまつぶ
うつしみを はずかしがりて とらぬまま きづけばもはや にどととられぬ
おみおくり いまもむかしも あたまさげ うつむくかおに かくしたおもい
あめふりて じかたまるなど いうけれど いまはこのまま うもっていよう
きおくなど ながれうつろい かわるもの おもいしるのに またもながるる
2021年1月
雪が降る 南国なのに 雪積もる 今年も令和 張り切りすぎて
コロナ禍で 毎食気分は 恵方巻 豆でもまけば 厄は去るかな
歌いたい だけど困った 歌痛い 今度一人で カラオケ来よう
2020年10月
低く鳴る 音に急かされ 蓋開ける 隣の香り 最早暴力
顔出して 肌刺す温度に また潜る 遅刻を告げる 目覚まし時計
指組んで 覗くその先 うたかたに 微笑む君を もう一度だけ
朝布団 昼は膝掛け 夜炬燵 震え止む頃 睡魔が笑う
窓の外 骨組みだけの 観覧車 景色流れて 思い出も去る