結局は異世界にて、魔物の希望となる

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 朝陽あさひのぼころに、目が覚めた。目覚まし時計なんてないけれど、あまり夜更よふかしすることがなくなってからは、こんなものだ。
 寝ている間も環境浄化は進んでいるので、起きてからは魔物たちを元に戻す治療。既に幻獣たちの間では噂になっていて、魔物になりかけた段階で、この聖域に来るようになった。そういった外界のうわさについては、グリフォンが教えてくれる。
(人間たちには、聖域が魔の島になったって言われてるみたい)
 まあ、何も知らなけりゃ、魔物の目指す島なんて怖いよな。魔王復活! とか、さわぎそうでさえある。
 しかし、やっぱり食べても食べても満腹にはならない。この世界には、まだまだ余剰魔力よじょうまりょくあふれかえっているのだろう。
「いやぁ、魔物まで救ってくれるなんて、ボクの見込み以上だったよ!」
 時折ふらりと顕現けんげんしては、ニコニコと笑う創造神サマ。彼はもう元のオレの姿をしていない。
 いくら姿を交換しても、向こうの力の方が大きすぎるから、そのうち彼の方だけ元の白い姿に戻ってしまうのだとか。ジワジワと変化していく元オレの姿をながめるのも不気味だったが、慣れた。今は若々しい金髪青年の姿まで変化している。もう少し色が抜けて、もう少し若く変化するだろうことが予想される。
「ふふっ、今回の実験はうまくいったようで良かった。世界ごとやり直すのは面倒だったんだよね」
 空恐ろしい台詞は聞かなかったことにして、空を仰いだ。まさか異世界の存亡がかかってたとは思わなかったけれど、慣れればこの生活も、嫌いじゃない。
 大層すぎる扱いだけは、慣れないけれどな!