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世界樹に蜘蛛が取り憑いたらしい。その意味も真偽も解らずに右往左往する情報ギルド、害虫など駆除だと騒ぐ自警団を横目に、今朝方見つけたひとひらの書置きを思い出した。書かれていた文字は、偽りに踊る影。あの達筆は師匠の手によるものだ。調査もなく蜘蛛を害虫だと断じ、駆除とまで騒ぐ自警団を監査せよとの意だろう。

【世界樹】【蜘蛛】【偽り】【ひとひら】
#小説 #150SS
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黄金に光り輝き羽を生やした姿は天使と呼んでも過言では無さそうだけれど、それにしてはその表情が気になった。どうして、激情をこらえているかのような、つらそうな顔をしているのだろう。せっかく親友の姿で迎えに来てくれたのなら、ねえ、穏やかに笑ってはくれないか。不甲斐ない自分では、その価値はなかっただろうか?

【黄金】【天使】【激情】【羽】
#150SS #小説
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シリーズもの>絡繰異聞 こぼれ話1話追加
 空オラクルと絡めたシリーズを追加してみました。
#絡繰異聞 #小説
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【星空】自分を甘やかして、ゆっくり寝る時間です #絡繰異聞 #小説
 こんなに(はかな)くて美しい光景は、元居た場所では見たことがありませんでしたので。機会(きかい)があればついつい見に来てしまうのは、それだけ自分が此処(ここ)を好きな証拠(しょうこ)なんだと思うのです。
「もうっ、夜更(よふ)かしは良くないんだけどな~?」
 でも天音(あまね)兄さんだって、私を探しに来た段階で、同じく夜更(よふ)かし組の仲間入りですよ?
 そう伝えたら、とっても(しぶ)い顔をされました。
「あのねえ、ボクたちにとって夜はゆっくり寝る時間なの、(わか)るでしょ? だって、電池(ごはん)が勿体ないじゃん!」
 確かに、それもそうですね。私たちは、絡繰子(からくりし)。機械の義躯(からだ)を持つ者。光発電で食事(エネルギー)(まかな)っている以上、太陽光の利用できる昼に動いて、夜は省エネモードで過ごすのが理に(かな)っている。(わか)っていは、いるのですが。
「せっかく、こんなに綺麗(きれい)な星空ですのに」
 それでも名残惜(なごりお)しくて(つぶや)いていたら、天音(あまね)兄さんの更に向こう側で足音がしました。
奏音(かのん)天音(あまね)にぃまでいないと思ったら、やっぱり此処(ここ)か。今夜は晴れているし、新月だし、空がよく見えるものな」
璃音(りおん)兄さんまで」
 璃音(りおん)兄さんは、天音(あまね)兄さんの隣まで来ると、小さく欠伸(あくび)をしました。こういう仕草が本当に人間らしいものだから、人間だと信じて疑ってなかったんですけどね。まさか機械の義躯(からだ)だなんて、思いもしなかった。
天音(あまね)にぃも、心配しすぎだと思うぞ。奏音(かのん)だって、流石(さすが)に何回もエネルギー切れで動けなくなりはしないだろう。動けなくなる度にバッテリーを増やしたりしているのは天音(あまね)にぃじゃないか」
「そうなんだけどさ~、それでも気になるものは気になるっていうかぁ」
 ぶつぶつとぼやきながらも、どうやら(あきら)めたようで、天音(あまね)兄さんは天を(あお)ぎました。
「こうなったら、さっさと流れ星を探してお願いごと、唱えなくっちゃだね」
 そう、これだけ星が見えるなら、流れ星だって、たまには見つかるのです。その正体がかつて宇宙に打ち上げられた人工衛星などの成れの果てだとか、そういう現実は(たな)に上げても、此処(ここ)では星空が見られて、流れ星には願い事を言うものだと美しい言い伝えを天音(あまね)兄さんが知っていて、元居た場所では星なんて見られなかった、その事実が私には大切で。
 静かな駆動音がして、私と天音(あまね)兄さんの肩を、璃音(りおん)兄さんの(つばさ)(おお)いました。璃音(りおん)兄さんの(つばさ)は予備電池(バッテリー)の役割も果たしているので、こうしてそのお裾分(すそわ)けをもらえれば、その分電池(エネルギー)消耗(しょうもう)(おさ)えられるのです。
 もしも流れ星が見つけられたら、その時は。
 考えていたはずなのに、兄さんたちも来たという安心感からでしょうか、気が付いたら眠ってしまっていたようで……。
「だから夜更(よふ)かしは良くないって言ったのに!」
 天音(あまね)兄さんがプンスカしながら、いざという時のアラームについて検討していたと、後から璃音(りおん)兄さんに聞きました。
 璃音(りおん)兄さんに内緒(ないしょ)()()っているお仕事のことを思えば確かに私の意識とは別に処理能力が欲しいなと納得をしたので、ちゃんと実装してもらったのは、蛇足(だそく)でしょうか。
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シリーズもの>ドリームワールドオンライン 1話追加
 とても久しぶりの、小説更新だと思います。ドリームワールドオンラインの更新も、6年ぶりくらいかもしれません。
#DWO #小説
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シリーズもの>絡繰異聞 こぼれ話1話追加
 招文堂 さんが「折る」をテーマにいつもの文芸文庫3を募集している と聞いて、提出するかは別として、絡繰異聞のキャラクターたちで後日談的に書き下ろしてみました。
#絡繰異聞 #小説
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奏音は一体何を折る?

「……なんですよ。なので、久々に折ろうかな、と」
 通話する奏音(かのん)の言葉尻だけが聞こえてきて、同じ部屋、少し離れたソファでダラダラとしていた璃音(りおん)天音(あまね)は顔を見合わせた。
「折る?」
 璃音(りおん)が首を傾げて復唱すると、天音(あまね)がもっともらしく頷く。
「鼻っ柱のことだね」
 数秒の沈黙。璃音(りおん)のジト目。
奏音(かのん)が、か?」
 この三人の中で普段最も引っ込み思案の性格をしているのが、奏音(かのん)であるというのに。
風薫(ふうか)にギャフンと言わせる的な意味で」
 風薫(ふうか)は過去に散々奏音(かのん)たちのことを嗅ぎ回り、結果奏音(かのん)不興(ふきょう)を買った情報屋の少女である。とは言うものの、天音(あまね)と同じく天然の(あお)り屋(と書いてトラブルメーカーと読む)属性の彼女は天音(あまね)とは気の合う同士として仲良しであるし、彼女に最も振り回されている璃音(りおん)がそれを許している以上、今更奏音(かのん)が何か復讐(ふくしゅう)めいたことをするとも思えない。二人は再び、首を傾げる。
「んー、じゃあ、矜持(きょうじ)?」
聖也(せいや)のか」
 さっきよりも璃音(りおん)のツッコミが早いのは、すぐさま心当たりに辿(たど)り着いたからだろう。
 聖也(せいや)は、現在奏音(かのん)の勤めている会社の先輩に当たる情報処理技術者(システムエンジニア)(この物語舞台の世間で言う技術士)である。(くだ)けた口調とは裏腹に、人間としては非常に優秀な技術士なのであるが、この場合は相手が悪かった。
 奏音(かのん)は見た目こそ(はかな)げな美少女であるが、一皮()いて現れるのは肉ではなく、機械の(かたまり)天音(あまね)によって機械化された彼女は、高度な思考プラグラムのデバッグ目的で作成されたこともあって、えげつないハッキング能力の持ち主なのである。しかも、なおタチの悪いことに、本人にその(すご)さの自覚がない。
 結果として、息をする(呼吸を偽装する)よりも簡単に、それこそ無自覚脊髄(せきずい)反射でそこらのプログラムをハッキングして操る奏音(かのん)のやらかしが聖也(せいや)矜持(きょうじ)を、下手したら彼の心でさえも、バキボキに折っている可能性はとても高いのである。
天音(あまね)兄さんも璃音(りおん)兄さんも、二人揃って首を傾げているなんて珍しいですね?」
 どうやら通話を終えたらしく、奏音(かのん)もソファに寄ってきたので、天音(あまね)が傾げていた首を反対側に倒す。
奏音(かのん)が、折るって言ったの聞こえたから、何を折るんだろうねって」
天音(あまね)にぃが鼻っ柱だの矜持(きょうじ)だの言うんだが、違うだろう? でも、自分には()ぐに思い付かなくてな」
 璃音(りおん)の説明に、奏音(かのん)まで首を傾げた。
「他所様の鼻っ柱とか矜持(きょうじ)とかを折るのが楽しいって言いそうなのは、私ではなくて、光希(みつき)の方ですよねぇ?」
 光希(みつき)は生前の奏音(かのん)にとって双子の弟ではあるが、廃棄(はいき)された後の奏音(かのん)が生きていると知って躊躇(ちゅうちょ)なく【処分(しょぶん)】するよう指示した旧家の跡取りでもある。彼ならば、己の一族のためにライバルを蹴落(けお)とすことも(いと)わないに違いない。
「じゃあ、奏音(かのん)は何を折るの?」
 ()れた天音(あまね)に、奏音(かのん)は何でもないような口調で答えた。
「紙、ですね。折り紙」

#絡繰異聞 #小説
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最安値の端末を買い与えただけなのに、君は花が綻ぶように笑った。そうは言っても、所詮一時的な、ただの仕事上の契約相手なのだから、深入りするのは自分にとっても相手にとっても良くないことだ。せっかく理性がそう叫んだのに、小さな囁きを聞いてしまった。
「すごい……。自分の端末なんて、初めて持たせてもらった」

【花】【端末】【契約】
#小説 #150SS
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硝子の陳列棚の中、銀に縁取られた真紅の表紙が、酷く目を惹いた。かつてその本は、手に取った者を片っ端から幻の世界へと誘ってしまったらしい。それで今は誰も触れられぬよう、銀の留め金まで施され、こうして硝子の檻の中。けれど、読まれない本に、何の価値があるというのだろう。踵を返した背後で、カチリと音がした。

【深紅】【本】【硝子】
#小説 #150SS
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 サイトの移転作業について、シリーズもの『絡繰異聞』の本編を全話掲載しました。
 これで全てのシリーズもののお引越しが終わったことになりそうです。
#小説 #絡繰異聞
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本物に見紛う蔦模様の彫り込まれた玩具箱は、きっとエルフの手によるものだろう。そう思うのに、中に入っていたのはこれまた精緻な紋様の彫り込まれたオルゴールで、恐らく作り手はドワーフで。このちぐはぐさの答えを知るであろう半透明の案内人を振り返れば、その幽霊は光の中、今にも彼方の世界へ召されようとしていた。

【幽霊】【オルゴール】【蔦】【玩具箱】
#小説 #150SS
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好奇心は身を滅ぼす。多少、表現の違いはあれど、古今東西で囁かれる言葉だ。役目として整理していた記録媒体から偶然発掘された地図にうっかり魅入られて、役目を放り出したと天界からここまで追放された……言わば堕天した自分が言うのだから、なかなかに信憑性があるだろう? 深淵の薄明と呼ばれる隠者が、歪に笑った。

【地図】【深淵】【堕天】【薄明】
#小説 #150SS
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薄明かりの空、雨の匂いがせっかくの香りを隠してしまいそうで、ため息がこぼれた。この香水、お気に入りなんだけどな。硝子の小瓶に揺られる淡い琥珀色の液体は、甘やかさの中にミステリアスな雰囲気を忍ばせた、オーダーメイドの調合品。残念、だけど、雨に負けないくらい使えば逆に香害になりかねないからね、仕方ない。

【硝子】【香水】【雨】【薄明】
#小説 #150SS
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 シリーズもの『絡繰異聞』の前日譚について、全話掲載しました。
 また、こぼれ話として、『蒼天「今、思ったことをやりましょう」』を追加しました。
#小説 #絡繰異聞
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『絡繰異聞』シリーズの本文掲載作業に着手しました。
 ひとまず、前日譚の堕天使の章について、掲載完了しております。
#小説 #絡繰異聞

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2025年7月17日(木) 17時54分43秒〔3日前〕