『かくて騒ぎが持ち上がる』機械仕掛けの人形たち

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 それは、くるった研究者の作品群、かなしきがいしゃたちのそうしょうと言われている。
 一人一人に何かしらの特技がされた、機械けのにんぎょうたち。早々にしゅくせいされた研究者の作品は多くはなく、それぞれにコードネームがあたえられている。
 ちなみにあまのんに至っては、その中でもさらにイレギュラーあつかいされるしろものだ。何せ、こうざきあま博士はしゅくせいされた張本人であるし、のんは完全非公式な、あまの死後の作品になる。
 しゅくせいのがれるべく自身を機械にんぎょうに改造したものの、かんじんの精神プログラムに不備をきたして暴走してしまうあまおさえるのが、のんの主な役割だ。それゆえに、のんには強力なハッキング能力が備えられている。
 人外レベルも当然、そういう風に作られた人外なのである。
 辿たどいたショッピングモールにて、とうぜんと笑いながらかいらしているあまをようやく視界内に収め、のんは本格的に、その思考プログラムへのかいにゅうを開始した。
 のんにすれば人間は苦手だし、いっそあま本人が一通り暴れ終わってからの方が仕事は楽だ。動き回るターゲットをとらえ続けるのは、主に物理的に負担がかかる。
 それでも正気にもどったあまこうかいし、それを見たおんが共に悲しむから、のんは事態の早期しゅうしゅうはかる。特に、おんなみだはいけない。おんは、あらゆる意味でのんの恩人だし、あまおんにはあまいため、からくり内ではおんの意見が通りやすい。そのおんなみだした日には、してるべしである。
 あまとうぜんとしたがおが不意にこおき、同時にその動きもにぶり始めた。確かな手応えを感じたのんさらにハッキングに集中してしまい、結果として、おのれの身の安全確保をおこたった。
のん!」
 我をもどしたあまが警告したときには、すでおそく。
 ほうらくする建物の鉄骨やコンクリートが、のんおそいかかっていた。