のぞんだ結末
縦横変換 爆発音がして、また壁が震えた。
本当、この一ヶ月は忙しかった。色んな意味で璃音の所為だけれど、だからといって璃音に会わない人生なんて恐ろしすぎて考えたくもないから、仕方ないかな。
璃音がいなければ、僕は未だに研究を続けていて、当然組織の粛正に遭うこともなかっただろう。もし他の理由で粛正の憂き目に遭ったとしても、こんな風に逃げ延びようとは思わなかったに違いない。
今までについて、全く後悔していないとは、言わない。璃音の他に犠牲になった子たちについては、色々と思うところもある。無理矢理連れてこられた子もいたし、嬉々として人間を止めた子もいたけれど、でも結局は皆、僕の手を離れてしまった。
璃音は、そういった意味でも例外だった。勿論僕も璃音を離さなかったけれど、璃音も僕から離れることを嫌った。ありとあらゆる言い訳を駆使しながら、組織に徴収されるのを回避し続けた。そして今も、隣にいるはずだ。
「天音にぃ?」
ほら、まだ声が聞こえる。もう目を開けるのも怠くて、姿を追うことはできない。でも、瞼の裏にはくっきりと思い浮かべることができる、僕の大切な堕天使。
絡繰人形にするに当たって、望み通り、翼を与えた。ここから逃げ出せるよう、お膳立てもした。なのに何故か、僕の元に舞い降りてしまった。そして今度は僕が、絡繰人形になろうとしている。ずっと、共に過ごすために。
そう、ずっと、望んでいた。僕も、望んでいた。
共にいてくれる相手を。
それを友だちって言うんだよって、どうやって知ったんだっけ。
ともにいてくれるから、ともだち。
……ふふっ。