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幕間四(常葉誠視点)

 声。うーん、声、か。
「じゃあ今度はモニターの反応確認な。お前、今何考えてる?」
『声』
「……は?」
 あ。守とのリハビリ中だった。集中しなきゃ。
(徳永先生厳しいんだから、ちゃんと集中しろよな)
 だよね。守はいつだって、仕事には熱心だ。えっと、僕、今、モニターへの入力をしたのかな? ん? ……声?
「おい、誠」
『ごめんなさい』
「怒ってるんじゃないから、何がどうなって声なのか説明してくれ」
 どうしよう。
(どうした?)
 えっと、守に、何で声のこと考えてたのって、聞かれた。
 自分の病室に戻ってきても望の気持ちは途切れずに届いていて、同じく僕の思念も向こうにダダ漏れだった。
 他の治験参加者の声は、届いてこない。望だけ。
(俺は良いよ、全部言われても)
 ……優しい。僕なら言えない。
『声 好き って  …… 望 が』
 守が、天井を仰いだ。
「お前から惚気を聞く日が来るとは思わなかったな」
 惚気、だなんて、そんな。いやでも、そうなのか? 耳が熱い。
(可愛いな)
 ……………………。
「おーい、誠? 今度は何を受信したんだ」
 守も望も、容赦ない。容赦ない、けど——
(嫌じゃないだろう?)
 嫌、じゃない。多分これは、好きとか、嬉しいとか、そういう。
(多分じゃない)
 ……はぃ。
「で、何を受信してるんだ?」
『好き  嬉しい  望 に  確認 して た』
「おう、良い傾向」
 良い傾向、なのか。僕の反応を見て、喜んでいる。二人とも。
(惜しくなってきた……この気持ち、俺のじゃない、な)
 ——そうか、惜しいのか。僕、が。
 どんどん反応を返せなくなっていく身体になるのが、嫌なんだ。
(悔しいな)
 悔しい。やっぱり何とかして、できれば声も、何とかして——
 視界の端に、ふるふると震える蔦。守が、僕の脳波と一番相性が良いからって接木したそれは、こんなにも僕の感情に正直だ。僕自身の身体より、今ではこの蔦を操る方が簡単かもしれない。
 それなら、もしかして——


【徳永守の日記】

 脳波読み取り装置に不具合が起きたっぽくて、誠まで良い意味で壊れた。
 いや、どう見たって面白すぎだろ。何でもかんでも神代に筒抜けて、二人で勝手に自爆して、悶えてやがる。神代から聞いていた、誠が真っ赤になって可愛かったです、の実物を見れる日が来るとは!
 神代も積極的にあいつの情緒を育ててくれるみたいだし、あいつも応えようとして頑張ってるし、ああやっと。これで、病気さえ、これ以上進行しなければ。
 ——なんて思っていたからだろうか。最近、誠が真剣に突拍子もないことを、検討しだした。体内にある外殻で神経の代わりができないかって——お前、それ、どんな発想の飛躍だよ!?