カテゴリ「ランダムネタガチャで書いてみた」に属する投稿26件]

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最安値の端末を買い与えただけなのに、君は花が綻ぶように笑った。そうは言っても、所詮一時的な、ただの仕事上の契約相手なのだから、深入りするのは自分にとっても相手にとっても良くないことだ。せっかく理性がそう叫んだのに、小さな囁きを聞いてしまった。
「すごい……。自分の端末なんて、初めて持たせてもらった」

【花】【端末】【契約】
#小説 #150SS
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硝子の陳列棚の中、銀に縁取られた真紅の表紙が、酷く目を惹いた。かつてその本は、手に取った者を片っ端から幻の世界へと誘ってしまったらしい。それで今は誰も触れられぬよう、銀の留め金まで施され、こうして硝子の檻の中。けれど、読まれない本に、何の価値があるというのだろう。踵を返した背後で、カチリと音がした。

【深紅】【本】【硝子】
#小説 #150SS
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本物に見紛う蔦模様の彫り込まれた玩具箱は、きっとエルフの手によるものだろう。そう思うのに、中に入っていたのはこれまた精緻な紋様の彫り込まれたオルゴールで、恐らく作り手はドワーフで。このちぐはぐさの答えを知るであろう半透明の案内人を振り返れば、その幽霊は光の中、今にも彼方の世界へ召されようとしていた。

【幽霊】【オルゴール】【蔦】【玩具箱】
#小説 #150SS
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好奇心は身を滅ぼす。多少、表現の違いはあれど、古今東西で囁かれる言葉だ。役目として整理していた記録媒体から偶然発掘された地図にうっかり魅入られて、役目を放り出したと天界からここまで追放された……言わば堕天した自分が言うのだから、なかなかに信憑性があるだろう? 深淵の薄明と呼ばれる隠者が、歪に笑った。

【地図】【深淵】【堕天】【薄明】
#小説 #150SS
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薄明かりの空、雨の匂いがせっかくの香りを隠してしまいそうで、ため息がこぼれた。この香水、お気に入りなんだけどな。硝子の小瓶に揺られる淡い琥珀色の液体は、甘やかさの中にミステリアスな雰囲気を忍ばせた、オーダーメイドの調合品。残念、だけど、雨に負けないくらい使えば逆に香害になりかねないからね、仕方ない。

【硝子】【香水】【雨】【薄明】
#小説 #150SS
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そのコインを持ってるなら入れてあげよう。ふふっ、ボクの玩具箱にようこそ!機械仕掛けの人形たちがおもてなししてくれるハズさ。おや、この子が気になるの?可愛い顔して電脳世界を影から牛耳る、油断ならない子なんだけどね〜。そっちの子は、あんまり近寄ると空を飛んで逃げてしまうよ。マトモな子がいない?その通り!

【 コイン 】【 電脳 】【 玩具箱 】【機械仕掛け】
#小説 #150SS
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行商人が玩具箱と称して置いていったのは、螺子巻き式のオルゴールが仕込まれた、華奢で繊細な作りの小箱だった。玩具箱、には、とても見えない、が。よく見たら、この螺子巻き、懐中時計のような部品にも繋がっている気がする。観察を始めると、ロマンに溢れた細やかな仕掛けだらけ、なるほど偽りなくこれは玩具箱だった。

【 偽り 】【 玩具箱 】【 行商人 】【螺子】
#小説 #150SS
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淡青の空にシャボン玉がふわふわと飛び交う、どこか牧歌的な風景。けれど、油断は禁物だ。このシャボン玉一つ一つが、誰かの夢見た幻世。触れて壊してしまえば、相手は最悪、廃人になってしまう。とは言え、早速目の前のシャボン玉にそっと手を伸ばした。他人の夢をハッキングするなんて悪趣味極まりないけど、仕事だから。

【 淡青 】【 幻世 】【 シャボン玉 】【ハッキング】
#小説 #150SS
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その吟遊詩人が訪れた街には、緑の祝福があるらしい。何のことか、ボクにはよく分からないけれど、やたらと噂として耳に飛び込んでくる。緑の祝福、って何だろう。荒れた大地を浄化して植物の種を蒔く、ボクの同業者かな。でもパパは、ボクを造るので精一杯だったって言っていたけどな?
無自覚な人工生命は、首を傾げた。

【 緑 】【 吟遊詩人 】【 無自覚 】【人工生命】
#小説 #150SS
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硝子の壁の向こう側、凄絶な美貌を誇る舞姫が、昏い瞳で力無く座り込んでいた。美しいのも当たり前、彼女は至高の常世から堕天してきた存在らしい。魅入られるなよ、と忠告した上司は、先に席を外していた。そんな忠告が必要なら、先に席を外すというのは悪手だろうと思う。目が離せない。手が勝手に、部屋の解錠コードを、

【 舞姫 】【 コード 】【 硝子 】【堕天】
#小説 #150SS
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思い出の中では、確かに自分には双子の片割れがいたのに。そんな痕跡は欠片も見当たらず、あまりに頭やら精神やらを心配されるものだから、いつしか幻だったのかと自分でも思い込んで。ペンデュラムに導かれた先、感情を失った操り人形の顔に、言葉を失った。自分がのうのうと恵まれた生活を送っていた間、その影では……。

【 双子 】【 ペンデュラム 】【 思い出 】【操り人形】
#小説 #150SS
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粛正の為に潜り込んだアジトの奥、懐かしい気配。辿って見つけたのは、幻世が発見されたばかりの頃の、今はもう白紙に戻させた計画書。綴られているのは確か、人工生命を現世の民の影武者として用い、探索という名の侵略を行うというもの、だった筈。ははぁん、なるほど。それでこの組織には、こんなにも戦闘員がいたのか。

【幻世】【影武者】【人工生命】【白紙】
#小説 #150SS
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「『陽が落ちた後の薄明すら消えて、漆黒の闇、暗躍者たちの時間が始まる』……なぁんて、ね。ちょっとカッコつけてみたけど、今の時代、そんな夜になった程度で真っ暗闇になんかなるわけないし」
 持っていた本を放り投げ、電脳に動かされる機械仕掛けの絡繰師が嗤った。
「ふふ、舞台の幕はとっくに上がっているよ?」

【漆黒】【機械仕掛け】【薄明】【電脳】
#小説 #150SS
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水晶で作られた機械仕掛けの花が、満月の夜だけ開花するという。泡沫の夢みたいでロマンチックだろう?と、作った技師は言ったそうな。それだけであれば、水晶のように煌めく花は、綺麗だねと言われるだけで、決して刈り尽くされはしなかっただろう。まったく、とんだ置き土産を残してくれたものだと、一番弟子が嘆息した。

【 花 】【 機械仕掛け 】【 泡沫 】【水晶】
#小説 #150SS
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声を掛けても反応がない相方は、きっといつものように電脳世界に意識を沈め、当面の資金確保の為に、後ろ暗い企業の後ろ暗い口座をハッキングしているのだろう。よく見たら、瞳に淡青の輝きが映り込んでいる。確定だ。星の瞬く間に嵐のように電脳世界を荒らす相方だが、まさか自身が幽霊と呼ばれているとは思ってもいまい。

【淡青】【嵐】【星】【ハッキング】
#小説 #150SS
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2024年5月14日(火) 23時56分23秒〔5日前〕