No.233, No.232, No.231, No.230, No.229, No.228, No.2277件]

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奏音は一体何を折る?

「……なんですよ。なので、久々に折ろうかな、と」
 通話する奏音(かのん)の言葉尻だけが聞こえてきて、同じ部屋、少し離れたソファでダラダラとしていた璃音(りおん)天音(あまね)は顔を見合わせた。
「折る?」
 璃音(りおん)が首を傾げて復唱すると、天音(あまね)がもっともらしく頷く。
「鼻っ柱のことだね」
 数秒の沈黙。璃音(りおん)のジト目。
奏音(かのん)が、か?」
 この三人の中で普段最も引っ込み思案の性格をしているのが、奏音(かのん)であるというのに。
風薫(ふうか)にギャフンと言わせる的な意味で」
 風薫(ふうか)は過去に散々奏音(かのん)たちのことを嗅ぎ回り、結果奏音(かのん)不興(ふきょう)を買った情報屋の少女である。とは言うものの、天音(あまね)と同じく天然の(あお)り屋(と書いてトラブルメーカーと読む)属性の彼女は天音(あまね)とは気の合う同士として仲良しであるし、彼女に最も振り回されている璃音(りおん)がそれを許している以上、今更奏音(かのん)が何か復讐(ふくしゅう)めいたことをするとも思えない。二人は再び、首を傾げる。
「んー、じゃあ、矜持(きょうじ)?」
聖也(せいや)のか」
 さっきよりも璃音(りおん)のツッコミが早いのは、すぐさま心当たりに辿(たど)り着いたからだろう。
 聖也(せいや)は、現在奏音(かのん)の勤めている会社の先輩に当たる情報処理技術者(システムエンジニア)(この物語舞台の世間で言う技術士)である。(くだ)けた口調とは裏腹に、人間としては非常に優秀な技術士なのであるが、この場合は相手が悪かった。
 奏音(かのん)は見た目こそ(はかな)げな美少女であるが、一皮()いて現れるのは肉ではなく、機械の(かたまり)天音(あまね)によって機械化された彼女は、高度な思考プラグラムのデバッグ目的で作成されたこともあって、えげつないハッキング能力の持ち主なのである。しかも、なおタチの悪いことに、本人にその(すご)さの自覚がない。
 結果として、息をする(呼吸を偽装する)よりも簡単に、それこそ無自覚脊髄(せきずい)反射でそこらのプログラムをハッキングして操る奏音(かのん)のやらかしが聖也(せいや)矜持(きょうじ)を、下手したら彼の心でさえも、バキボキに折っている可能性はとても高いのである。
天音(あまね)兄さんも璃音(りおん)兄さんも、二人揃って首を傾げているなんて珍しいですね?」
 どうやら通話を終えたらしく、奏音(かのん)もソファに寄ってきたので、天音(あまね)が傾げていた首を反対側に倒す。
奏音(かのん)が、折るって言ったの聞こえたから、何を折るんだろうねって」
天音(あまね)にぃが鼻っ柱だの矜持(きょうじ)だの言うんだが、違うだろう? でも、自分には()ぐに思い付かなくてな」
 璃音(りおん)の説明に、奏音(かのん)まで首を傾げた。
「他所様の鼻っ柱とか矜持(きょうじ)とかを折るのが楽しいって言いそうなのは、私ではなくて、光希(みつき)の方ですよねぇ?」
 光希(みつき)は生前の奏音(かのん)にとって双子の弟ではあるが、廃棄(はいき)された後の奏音(かのん)が生きていると知って躊躇(ちゅうちょ)なく【処分(しょぶん)】するよう指示した旧家の跡取りでもある。彼ならば、己の一族のためにライバルを蹴落(けお)とすことも(いと)わないに違いない。
「じゃあ、奏音(かのん)は何を折るの?」
 ()れた天音(あまね)に、奏音(かのん)は何でもないような口調で答えた。
「紙、ですね。折り紙」

#絡繰異聞 #小説
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#絡繰異聞 の面々でMMOに手を出した場合、風薫(派手好き・体弱い設定あり)が普段できないこと!!って言いながらアタッカーに立候補して、電脳世界でのお仕事メイン的な意味で同業の聖也(お調子者兼不憫枠)と近接物理・魔法系どっちを取るかの仁義なきバトルが勃発。
それを呆れた目で眺める真理亜(聖也の姉・リアルではやや脳筋な物理最強枠で護衛兼社長補佐)はこんな時でも耀夜(真理亜の会社の美人社長)を護衛したくてタンクを選択。耀夜はと言えば護衛がつくからとバフ・回復職を確保。
天音ってぃ(元・狂科学者)は魔法アタッカーに興味を示すものの、もし錬金術的な職があれば興味と好奇心でそっちを優先。詩音(虚弱枠2人目)は生産特化職を探す感じ。璃音(詩音の兄)はここまでの全員の意見が出揃ってから、残った職でバランス見ながら選び出す(おそらく遠距離物理攻撃職)

ところがここでうっかり天音ってぃが奏音(非常識枠)に要らぬゲームの妄想をあれこれ吹き込んだ結果、真に受けた奏音が自覚なくゲームをハッキングしてデータを書き換えてしまい、ラスボス化。

ってところまで妄想した!!
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 そう言えば、最近久々に水彩で描いてたかも。
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絡繰異聞の本編6話目について
奏音と耀夜の出逢いパート!
ただし、初っ端から奏音が超警戒モード。

奏音の体は機械なので、痛覚に相当するのはエラー信号なのでしょう。
目を開けて完全休眠していればマネキン人形と思われた可能性がありますが、目を閉じていたので人間判定された模様。

さて、では機械人形は人間用の医療機関で直せるか?となると答えは当然NOなのですが、即座に分解されるか?となると、そちらは「相手次第」と思われます。
ところが既に『廃棄・処分』を経験している奏音は物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまい、こうして人間不信・挙動不審の少女が出来上がったという寸法です。

以下、本編履修済み前提の語り

本編中では、ここからのパートは少々のギャグ成分を含みます。
奏音と龍神警備会社との間で盛大なすれ違いによるコントが発生するからです。
今回の話で触れられている通り、奏音は人間に保護されたくない訳ですが、『都市伝説になるくらい』人間っぽく不合理な挙動をする機械人形の存在が普通にショッピングモールに居合わせるなんてシチュエーション、なんてのも、一般人には思い付かないのです。
ついでに奏音たちは『元人間』なので感情に任せて不合理な選択をしたりしますし、天音ってぃが天才すぎて外見的にもほぼ人間なので、ますます仕方ないですね。

この物語は未来世界を舞台にしているので機械人形そのものは絡繰子の他にも存在していると思いますが、本来はそれぞれに『作成された目的』『プログラミングされた行動』がある筈で、ただ『生きる』ことそのものが主目的の絡繰師の存在はまだまだ時代を先取りしすぎているのです。
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#絡繰異聞
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絡繰異聞の本編5話目について
本編中、最も治安の悪い話(作者の独断)。
政府や自治体の公的勢力はどうしても初動がね、ということで、龍神警備会社が救助活動に出ること多々なのは、『慣れた手つき』からも察せられるかもしれません。
貧富の差を拡大させて治安を悪化させる程度には、この世界の政府は無能のようですしね。
上の指示がなければ、下が勝手に動くわけにもいかず。
そして余裕がなければクレーマーも増える……。

話の後半では、ついに奏音が見つかってますね。
どうやら被っていたカツラは何処かへ飛んでしまって、目立つ髪の色が耀夜の目に入った様子。
何処ぞの御曹司にそっくりらしいけれど、何せ治安の悪い世界でそんな大物が一般市民の多い商業施設に護衛の1人も連れず行く訳がない。
しかもそもそも性別が違う。
何やら厄介の雰囲気ですね?

まあ、今から更に騒動にするって、最後に書かれてますけどね!

以下、前日譚・本編履修済み前提語り

勿論ここで語るのは有楽部家の闇以外にないでしょう!!!

古くからの名門、有楽部一族の作者的ネーミング由来は、『裏』『占』(そして表向きには楽)を『司る一族』で有楽部です。
ネーミングからして、既に黒さが滲み出ています。

さて、前回の語りで奏音の前の名前が『闇呪』だと書きました。
これは前日譚でも書かれている事実です。

そして今回、今の有楽部の若き御曹司が『光希』だと判明しました。
しかも、どうやら奏音、もとい『闇呪』とそっくりらしいですね?

前日譚にてハッキリ明言されています、この2人は一卵性双生児です。
一卵性双生児のハズなのに性別が違う件については前日譚で語られているので割愛するとして、双子にこんな対比的な名前をつけちゃう親のセンスよ!!

なお、奏音は、闇呪の頃から戸籍登録されていません。
璃音もその点は怪しい。孤児だし。
天音ってぃだけは、元々戸籍あったと思うけど、死亡扱いですね。
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#絡繰異聞
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絡繰異聞の本編4話目について
4話目は場面転換して、騒動に巻き込まれる側。
そう、あらすじの中で奏音を拾うとされる耀夜の登場シーンです。

潔く即断即決な性格の社長と、影のように寄り添い支える護衛(警備会社なので警備員表記)。
後はスパイス程度に、治安の悪そうな世界観を匂わせつつ。
警備会社が文字通りの意味を成していない世界(どちらかと言えば武装できる勢力的な意味合い)の中で、果たして龍神警備会社の立ち位置は……?

以下、絡繰異聞本編・前日譚履修済み前提語り

めっちゃ多方面から慕われる我らが耀夜さんなんですが、この登場シーンではそこまで表現されていない感じ。
物語が進むとね、部下からのみならず、奏音の心を開き風薫にも姉と言われ、多分璃音にも感謝されているので、あーモテモテーって思うんですけどね。

そう言えば、本編中で語られていないこととして奏音の普段のハンドルネーム『アンジェ』の由来。
前日譚では明らかになっている奏音の元の名前、『闇呪(あんじゅ)』を元に、『堕天使(英語でFallen angel)』璃音にあやかってアンジェです。
本編開始時点では奏音は自身の名(奏音)を璃音、天音からの贈り物としてとても大切にしており、大嫌いな人間たちなんかに触れさせてたまるか、という思いが強いです。
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#絡繰異聞
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絡繰異聞の本編2話目について
騒々しい絡繰師の日常回。
1話目の予告通り騒ぎが発生しているし、奏音と天音についての掘り下げもされています。

天音が勝手に暴れるので、奏音は一般人に天音の行動を警告しつつ(破壊テロとして避難を促している)、その姿を隠蔽しつつ、更に鎮圧に掛からないといけないという、しっちゃかめっちゃかっぷり。
なのに、何だかんだでそれが可能である。しかも天音の行動を読み取っている。
おやおや奏音やべーな?というところで、早速明かされる闇深そうな奏音の生い立ち、更に人間で『あった』という不穏なワード!!

と、いうわけで、明日は解説回みたいなものだろうなという予感を残しながらの引きとなります。

以下、前日譚や本編履修済みの方向け語り

まあ天音ってぃが暴走している背景については昨日も語ったので良いかなと思うのですが、奏音について。

前日譚を履修した方ならご存知のことですが、奏音は元々古くから続く名家の出身。
ところがとある身体的欠陥により、散々双子の弟の影武者として自我をすり潰されたあと、廃棄を言い渡されます。
お世話係たちの意地で生きて逃がされたものの、後からバレて、『処分』(全年齢向けなのでボカされた表現)の憂き目に遭った、不憫すぎるヒロインです。
この古くから続く名家、奏音をあっさり処分しようとするところからも察せられると思いますが、まあ非常に『腐った』一面があるわけで、それを散々目撃し、捨てられ、命の危機にもあった奏音が人間不信を拗らせるのは、仕方ないかなって。

そんな奏音が璃音や天音には不信を抱かないのは、拾われた、救われたという経緯と、『いざとなればハッキングできる』という安心感からです。
うん、すごい拗らせっぷりですね。
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2024年11月21日(木) 19時36分50秒〔18時間前〕